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2015年7月15日水曜日

シャーロック・ホームズ……脳筋シャーロックと格好良いハゲ2大巨塔夢の競演

2009年/アメリカ
ガイ・リッチ―監督


あらすじ:
脳みそ筋肉寄りのシャーロックが推理そこそこに敵をなぎ倒します。


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一時期ミュージック・クリップ畑から映画畑に転身する監督が多かったように思います。スパイク・ジョーンズ、ミシェル・ゴンドリー、そして今作の監督、ガイ・リッチー。
音楽畑からやってきた監督って一様に共通の特徴がありますよね。普通の監督って編集した映像に音楽を載せていくと思いますが、音楽畑からやってきた監督は、音楽に合わせて映像を編集します。アプローチが逆なんですね。そのため非常にリズミカルでテンポの良い映画になることが多いです。

「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」や「スナッチ」なんかもすごくリズミカルで、ガイ・リッチーって映画ファンって言うより音楽ファンとか、なんというか「ヴィレッジ・ヴァンガードが好きな層」あたりに受けてた監督だと思うんです。伝わる?これ。サブカルの表層をなぞったような層というか。映画そのものよりおしゃれな映画のポストカードを買ってウォールポケットに並べて入れるのが好きな層というか。
恥ずかしながらかくいう私も、一時期その層をなす一部を担っておりましたので、御多分に洩れずガイ・リッチ―が好きでした。でもねえ、ガイ・リッチーって単館系っていう感じが否めなかったの。一部に人気はあったけど、雰囲気オシャンティ映画で内容は二の次って感じだったので、ロバート・ダウニー・Jr!ジュード・ロウ!極め付けにシャーロック!!なんてビッグキャストにビッグタイトルで、大丈夫かおい、と。ガイ・リッチー大丈夫かと。日和ったんじゃないかと。心配したものです。

「メジャーシーンに躍り出た=日和った」かどうかはまあさておいて、実際劇場に足を運んでみれば心配することもなくちゃんと万人が楽しめる大衆娯楽映画になっておりました。リズミカルなガイ・リッチーの良さもちゃんと残っていて、いちいちすごくワクワクできますね。

マーク・ストロングが出てると私とてもそわそわワクワクしてしまうんですよね。彼って若い頃のアンディ・ガルシアにそっくりでない?アンディ・ガルシアかっこいいよね。だから当然マーク・ストロングもかっこいいよね。頭髪寂しいのにね。
頭髪寂しいといえばワトソン役のジュード・ロウも競うかのように頭がおさびし山ですが、この映画は「ハゲてるのにかっこいい二大巨塔」が夢の競演をしている奇跡の映画でもあります。
ちなみにこの二人は「スタイリッシュな小綺麗ハゲ」で、ブルース・ウィリスは「泥臭い小綺麗ハゲ」で、ニコラス・ケイジは「小汚い散らかりハゲ」です(当社調べ)。褒めてます。「褒めてます」って注釈毎回入れないといっつも貶してるようにしか見えないな私のブログって。

てっきりこの人がモリアーティをやるんだと思ってたのに、彼は原作にもいないオリジナルキャラでした。うーん。続編に出てくるモリアーティよりもこの人がモリアーティに適任だった気がするんだけどなあ。そこが少し残念でもあります。とても良い悪役。

この作品を見た当時は、「ちゃんと推理もやって、アクションも華麗で、それでいて従来のシャーロック像を壊していない。それなのに新しい。素晴らしい作品だなあ」と思ったものですが、BBCが現代版シャーロックのドラマで世界的ヒットを飛ばしている今改めてこの映画を観ると、「このシャーロックあんま推理してないな……」「最終的に物理で片づけるな……」という印象が先に立ちますね。
ベネ版「SHERLOCK」を観て(気が狂うほど大ファンですがこちらは映画ではないのでこのサイトでは取り上げない、と思います……私の理性が飛ばない限り。そして私の理性はものすごく飛びやすく出来ています)、「そうだよな、アクションだってやるけど本来のシャーロックって推理にウェイトを置くもんだよな」と我に返りました。ロバート版はいささかアクションの方にウェイトを置いております。でもそれだって間違いではないと思うんです。原作にも「バリツ」なる謎の柔術が出てきますしね。動きがあって深く考えずとも楽しめる。非常にハリウッドらしく大衆的で良い作品だと思います。

ロバート・ダウニー・Jrはこの作品の前後あたりまで薬物依存のイメージで(アイアンマンのキャスティングの時は当初制作スタジオから何があっても雇わないと宣言されていたとか)なかなかのハンデを負っていたようですが、現在の活躍を観ていると彼がそのまま消えずに良かったと心から思います。
どんな過去を持つにせよ、素晴らしい才能は評価されるべき。才能の世界に生きる人間は、やはり才能でのみ評価されるべきであると私は思っています。彼の人柄ももちろん好きなんだけどね。
これからも良い作品を生み出してほしいものです。


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2015年7月13日月曜日

シークレット ウインドウ……白塗りしないジョニデを求めて

2004年/アメリカ
デヴィッド・コープ監督


あらすじ:
妻に浮気された上に盗作を疑われたので、なんかむしゃくしゃしています。


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この方「チャーリー・モルデガイ」の監督なんですね。「チャーリー~」の方は未見なんですが、予告を見る限りじゃだいぶノリのいい作品だと思っているんですがどうなんでしょう?割と幅広い監督なんだな。
私そこまでスティーブン・キング作品を観ている訳ではないと思うんですが、なぜスティーブン・キング作品ってどの監督が撮ってもちょっと雰囲気似通るんでしょう?観た映画がたまたまそう思えただけなのか……それともキング作品にかかわらずそういうものなのかしらん?例えば「ミスト」はフランク・ダラボン監督ですが、やっぱり空気が似ている気がする……似たような田舎の環境を舞台にしているからなんだろうか。
なんとなくだけども、誰とどう掛け合わせたとしてもキングのDNAが強いという気がしてなりません。
コープ監督って、脚本などで関わった作品を観ていると元々は「チャーリー~」側なんだなって気がするんですよね。そういう人でもキングには引きずられてしまうという、そういった強さがあるのかもしれませんね。

この作品は何が良いって、ジョニー・デップが普通なのが良いんですよねええ……!!一時期ジョニー・デップが好きすぎて、死ぬほど作品を漁る日々を送ったことがあります。が、昨今のジョニーときたら、顔に何色か塗らないと死ぬ病気なの?ってくらい何か塗ったくりますね。
この世代の俳優って、美男子であるためにアイドル扱いされることを苦にして汚れ役をやりたがる人がかなり多い気がします。ジョニー・デップはもちろんの事、レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピットなんかがそのあたり。
俳優として実力を認められたいと思うのは分かるし、実際実力あると思うんです。だけどねえ、塗りすぎ。デップ、顔に塗りすぎ。それに伴って演技が偏りすぎ。普通でいいじゃないのよ。そんな私と同じように、白塗りのデップに食傷気味の方にお勧めです。
キング作品ってだけあって作品内容もとても手堅い。ザ・王道を行くサスペンス映画です。

ジョニー・デップを追い詰める相手役がジョン・タトゥーロだというのがまたこの映画のポイントですね。コーエン兄弟監督作品常連の彼がこんなとこにいるとなんかほっこりします。シャイア・ラブーフ版のトランスフォーマーにも出てたっけね。
なんだかいつも面白い印象のあるジョン・タトゥーロですが、この作品ではほんと不気味。どうやら本当に盗作された被害者らしいのに、ストーカーにしか見えない。全く同情できないんですよね。それはすなわちジョニー・デップから見た彼そのものの印象なんですが、イメージ通りに気味が悪い役を演じきっていて改めてジョン・タトゥーロの地の強さというものを感じます。こういうことだと思うんだよね。特に何をしなくても滑稽になれるし、気持ち悪くなれるし、気のいいおじさんになれるっていうのが、いい役者であるという事だと思うんだけど、なんていうか、うーん、とりあえずジョニーは顔に何か塗るのをやめてみてほしいと思います……この頃に戻って!

スティーブン・キングって大体の作品でカタルシスが得られると思うんですが、この作品もその期待を裏切りません。サスペンスものってやっぱこう、すっきりしないとねえ。それが徐々に氷解していくのでなく、キング作品は「あっ!うわー、うわー…!」って感じが一気にやってくるのが実に爽快で良いです。「妻の浮気」と「盗作疑惑をかけられる」という一見関係ない二つの物事が、やがて交わっていく様は見事です。「ただなんとなく」人が壊れていくという難しい題材に、説得力を持たせられるのってなかなか難しくて、これがうまくいかないと薄っぺらいお話になってしまう。その点この作品はジョニーが徐々に、淡々と壊れていく様子を納得しながら観れます。非常に手堅い佳作です。おすすめ。


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