2014年/アメリカ
デミアン・チャゼル監督
あらすじ:
私この映画観たことある、この人ハートマン軍曹って言うんでしょ。
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つい昨日観たばかりで上手く消化しきれていません。でも書きたい。アウトプットして楽になりたい。この話をいつまでも体内に飼いつづけるのは結構な苦痛です。別に鬱映画でもないんだけど、この苦しみはなんでしょうね?書いたら何か分かるかしらん。
私はジャズにかかわらず音楽関係の事にとても疎いです。私が持っているジャズ知識と言えば、まず思い浮かぶのは「スウィングガールズ」で、「セッション」の冒頭で流れるかっこいいジャズを聴いて「うわールパン三世みたいだ!超かっこいい!」と思った粗忽者です。そういった残念な人がこの感想を書いていると、ひとまずご留意ください。音楽に関して大したことは書けません。
この映画をうまく消化しきれないのって、何が引っかかってるのかなーってずっと考えているんですけど、もやーっとしたまま無理やり言葉にしてみると「主人公ってドラムが好きだったのかな」ってことに尽きると思うんです。好きと言う言葉一つでは表せないなら好きではない、というのは暴論なわけで、もちろん、彼はドラムの事は好きだと思います。だけど、それだけではない。
主人公のニーマン少年は、指導者のフレッチャーおじいちゃんに壁ドンされながら「お前には音楽をやる理由がある、そうだな?」と聞かれて「はい、僕には音楽をやる理由があります」と答えるわけですが、え、そこ、どんな理由があるか答えるんじゃないんだ?って思ったのがまず最初の違和感。
大学最高峰の指導者に見初められて調子のっちゃって片思いの女の子ナンパして、成功したはいいものの、ドラム練習に没頭したくてすぐさま彼女を振る時に「僕は偉大になりたい」と言う。これが二つ目の違和感。
他にも数か所ありましたが、ともあれ彼の夢は、あまりにぼんやりしすぎているんですね。彼は音楽が本当に好きだというよりも、誰にも認められず鬱屈としている彼が唯一他人を見返してやれそうなツールを見つけて、たまたまそれがドラムだったにすぎない、そういう感じがするんですね。それを、「好き」と思いこんでいる。フレッチャーに指導されている最中の彼は、目の下のクマも黒々としていて人でも数人殺してきたような顔つきでいます。全く楽しそうに見えないんです。道を究めるには常に血のにじむ努力、想像を絶する苦痛が伴うのでしょうが、それにしたって野球選手のイチローは人を殺したような顔してるか?サッカー選手の本田が偉くなりたいという漠然とした夢で日本代表になったか?
ニーマンは努力で己の技術を伸ばしたかもしれません。しかし彼の原動力は、根底にある思いは、どこまでも普通の男の子のそれに見えます。将来の夢が「偉大になりたい」である限り、彼は偉大なチャーリー・パーカーにはなれないのではないか。
「なれないのではないか」、で終わると、この映画の事を全く語ることが出来ていないと思います。彼にはフレッチャーがいる訳ですから。
ニーマンは確かにフレッチャーに身も心もボロボロにされてしまいますが、フレッチャーがいなければその技術は得られなかった。フレッチャーが彼の半端な気持ちを無視して、チャーリー・パーカーを生み出すために力技で彼を高みへねじ込む訳です。自分の意思がぶれたまま、趣味を職業にしようとする人は多くいると思います。イチローや本田のように、具体的な人生設計があってそれを遂行するため粛々と自分を鍛え上げられたというのは一握りではないでしょうか。
フレッチャーは、「このままではいいとこどまりの青年」を伝説になりうる青年に無理やり押し上げちゃった、という奇跡の物語……ということで、いいのかなあ。やっぱり自分の中で消化しきれていない。うーん。
もちろんフレッチャーの指導法は下種としか言いようがない。優しい顔をしてプライベートに立ち入って、同情するような顔をしながら、そのネタを使って演奏室で罵倒する。外道以外の何者でもない。もっとやり方はあるのかも。「Good job」と声をかけられても有名になったプレイヤーはいるはず。罵倒されなければ人は天才になれない、という持論は、彼の詭弁にすぎないと思うのですが、事実それでニーマンは天才になる足がかりを見つけた。結果論ですが。結果論だからこそ、なんか、うわー、うわー!って気持ちが消えないのかも。うわーって思ったって、フレッチャーがすごいのは事実なんだけど。指導する手腕と性格は関係ない。ニーマンのドラムの腕が良くても、彼の性格がどうしようもなく幼稚である事と同じように。
あー、言い足りてない!でもこれ以上書いても蛇足にすぎない!気がする!
いつかリベンジするかもしれません……すごく魅力的な映画でした。サントラ買ってしまった。
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