2015年7月11日土曜日

ダラス・バイヤーズクラブ……シンプルに生きたいと願うことに差別なんかないから



2013年/アメリカ
ジャン=マルク・ヴァレ監督

あらすじ:
エイズを発症したので、エイズ患者相手に非認可の薬を売りつけるビジネスを始めます。


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もはや役作りのために体重を数十キロ変動させることなんて普通のことになってきましたね。
デ・ニーロ・アプローチの由来になっているロバート・デ・ニーロは体重変動はもちろんの事髪の毛抜いたりホームレス施設に入ってみたり精神病院に入院してみたり、無茶苦茶することで有名ですけども、マシュー・マコノヒーはそういったデ・ニーロ・アプローチに見られるような綿密な役作りに加え、非常に感性の人でもあると思います。演技に対して、憑依型とまではいわないけれども…瞬発力が良いイメージ。
デ・ニーロはもちろん素晴らしい俳優です(好きです悶絶するほど。わたくしおじさまフェチなのです。)が、今やそれをまねて体重を変動させるくらいでは話題にもならない時代で、そこから、何をするかが求められているのではないかなと思います。過酷な時代になったね……。
ともあれ、マシュー・マコノヒーは、その期待を裏切らないし、越えていく。とても素晴らしい俳優です。もちろん、好きです悶絶するほど。昔見かけたときはタレ目でチャラい色男って感じだったのになあ。いつの間にか骨太な俳優になっていましたね。

この作品観てて、「エイズはホモがかかるもの」というデマが昔存在していたという事実を今一度思い出しました。そんな時代確かにあったね。ゲイでなければ大丈夫というその根拠のない決めつけと「ノーマル」という選民意識みたいなものが、とても滑稽に映ります。とくにエイズにかかった主人公自体が物凄いゲイフォビアで、びんっびんに差別してくるんだけど、差別する人に対する怒りとか憤りよりもやはり、「アホだなこいつ、自分がその病気になってるって言うのに、滑稽だわ」というおかしみが先に来てしまいました。すんごい差別主義者なんだけど、今この時代だからこそ「アホだなこいつ」と思えるキャラになり、なんだか憎めないキャラとして最初から存在できているんだと思いました。怒る気にもならんよね。エイズ発症しちゃってるし。
彼は結局最後までゲイを差別していたと思います。だけどビジネスパートナーのレイヨンの事は好きだった。ちゃんと相棒だったと思うんです。彼には差別が自分の中から完全に払拭されるにはあまりにも時間が残されていなかったけど、差別しなくなるっていうのは、きっとこういう、ゲイだとかノーマルだとか関係なく、その人を人として好きになることから始まるんでしょうね。彼はそのスタートに立てていたと思うんです。彼の芯の部分にあるものはとても愛おしいから、彼の事を好きになれるんだと思いました。ひっどいクズなんだけどねえ。なんだかクズばっかり扱ってるなこの映画レビューブログは。

私ノーラン作品が狂おしいほど好きで、マシュー・マコノヒーは「ウルフ・オブ・ウォールストリート」から本格的に追い出したニワカなんですけども、特によく見ているマコノヒー作品は「インターステラー」なんですね。それを観てるとしみじみ「ダラス・バイヤーズクラブと全然違う…」って驚嘆するわけです。インターステラーの彼は非常に包容力があるマッチョイズムな父親なんですが、ダラス・バイヤーズクラブではそんなもん微塵も感じさせない。ヒョロヒョロしてるからってだけではないんですね、なんかもう、オーラから違う。ゲスのオーラが凄い。彼のように変幻自在な俳優って私大好物です。タイプキャスト的な俳優も嫌いじゃないんだけどね、ベネディクト・カンバーバッチなんて最近その典型に陥ってる気もしないでもないんですが、それはそれで好きなんですけどね。やっぱ色んな映画に出ていながら「えっこの人って本当にあの映画に出てた人と同じ人なの」って驚きがあるとすごく嬉しい。マシュー・マコノヒーは見る映画すべてでそういう新鮮な驚きを与えてくれます。
しかしデ・ニーロも映画によってどんどん役作り変えていく割に、見かけるたび「デ・ニーロだ…」って思ってしまうのはなぜなんだろうか。

映画の話からは外れてしまうんだけど今回やたらデ・ニーロ・アプローチに触れたので。
ちょっと調べてみたらどこかのニュースサイトの画像でこんなのを見つけたのですけど、いやー、人って変わるなー!ダラス・バイヤーズクラブのマコノヒーは言わずもがな、右の方です。
右の人いかにもゲイとか嫌いそうだけど、左の人ゲイどころかなんでもありっぽそうだもの!同じ人なんだぜ!信じられん!
未見だけど左の方はおそらくこれ「マジック・マイク」のストリッパーの役の時ですね。ちょっと観てみたいと思いながら手つかずなんだよな。観てみようかな。


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