フィル・ロード、クリストファー・ミラー監督
あらすじ:
平凡な青年が類稀なる平凡力で世界を救おうとします。
※ちょっとネタバレしてるかもしれません。
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語り部が能天気だと、どんな景色も楽しく見えたりします。例えば「フォレスト・ガンプ」は、周囲で起きている事が割とシビアでヘヴィだったりしますが、主人公の頭がちょっとだけシンプルなばかりに「ちょっと大変だったけどまあ考え込むほどでもないよね」という気持ちであらゆる出来事を見ていられます。いや実際、結構ヘヴィなんだけどね。いじめられたり、戦争があったり。
シンプルに生きるという事は時に愚かに見えますが、時にとても賢かったりするものです。難しく考えていた事でも、考え抜いた先に得た答えは案外シンプルだったりするように。
LEGOの主人公もまたとてもシンプル。LEGOなだけあって造詣もシンプル。
「こんな平凡すぎる人が世界を救っていいの…?」ってちょっと不安になったりもするけど、それだけにすごく応援したくなるし、とっても可愛らしくてニコニコしてしまうんですよね。
ぱっと見のお話は「トイ・ストーリー」に似てるかもしれません。向こうも人形だし。でも私はそれよりも「マトリックス」に似てると思います。トイ・ストーリーは「自分たちは人間たちに遊ばれるためのおもちゃ」という自覚を持っていますが、LEGOの世界に住む人たちは「LEGOで遊ぶ人間」の事を知りません。どうやら次元が違うようです。自分たちの世界の外にまだ世界が広がっていることを知らないんですね。そして恐ろしく統制された世界で、統制されていると分からずに力の限り楽しんで生きています。テレビのチャンネルは一つしかないし、ヒット曲も一つしかない。すべてにマニュアルがあって、毎日同じことを繰り返して生きている。
傍から見ているとどっからどうみてもディストピアなんだけど、LEGOの住人はすんんんごく幸せそうです。今までのディストピア映画って、自由のない世界の絶望感をいかに表現するかに力を入れてると思うんだけど、この映画はなんかもう「ディストピアでーす!ヘーイ!Fooooo!!!」ぐらいのノリ。そんなこと知らないし、それがどうしたという底抜けの明るさで、どんな時でもただただ笑っちゃうんですね。ディストピアだと分かった後でも主人公は底抜けにハッピーな感じ。こういうディストピア映画もありなんだなと思いました。ちょっと、新しい。
この世界の良い所って、ディストピアとか割とハードな世界観していながら本当、平和ってところ。誰も死なないんですよね。最悪動けなくされちゃうだけで、バラバラにされちゃったりする訳じゃない。それはこの世界を作る「上にいるお方」の世界観がそうさせている訳で、神様が優しいと世界は優しいのだな、とほっこりしたり。ディストピアだけど。
オリジナルキャラに加えて、バットマンやスーパーマン、ダンブルドアにガンダルフなどなど、レゴならではのキャラクターも登場したり、声優がモーガン・フリーマンだったりリーアム・ニーソンだったりチャニング・テイタムだったりして何気に豪華。個人的には日本語吹き替え版の主人公の声が森川智之さんなあたり嬉しさに身悶えるんですが(映画版「シャーロック・ホームズ」、ドラマ版「SHERLOCK」でともにワトソン役をしています)、私と同じようなツボをお持ちの方にもぜひおすすめします。いいよ……森川さん、いいよ……!!
アクションシーンにはマトリックスのスタッフが関わっているそうで、もうほんとすごい。レゴってこんな動くんだ!?ってくらい動きます。ちゃんと既存のパーツを使っていて、しかも人形の動きも可動範囲内なのが憎いね。
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